手紙や文書を書くときに登場する「拝啓」「敬具」。
なんとなく使っているけれど、「これで合っているのかな?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。
特に、上司や取引先、顧客など相手によって失礼にならないか気になりますよね。
この記事では、拝啓・敬具の基本から相手別・媒体別の使い分けまで、実例つきで解説します。
「そのまま使える例文」も用意していますので、ぜひ安心して活用してくださいね。
拝啓・敬具の基本ルール:書き出しから結びまでの原則

拝啓と敬具の意味・役割を簡潔に理解する
拝啓:手紙の最初に書く、あいさつの言葉。
これから本文に入ります、という合図のような役割があります。
敬具:手紙の最後に書く、結びの言葉。
ここで文章が終わることを丁寧に伝えます。
この2つは必ずセットで使うのが基本ルールです。
「拝啓」を書いたら、最後は必ず「敬具」で締めます。
どちらか一方だけを書くと、形式として不完全になり、相手に違和感を与えてしまうことがあります。
特に、目上の方や取引先宛の文書では注意したいポイントです。
時候の挨拶の書き方と省略の可否
拝啓のあとには、時候の挨拶(季節を表すあいさつ)を書くのが正式な形です。
これは「季節に触れながら、相手の健康や繁栄を気づかう」ための日本ならではの表現です。
例:
- 春:春暖の候、桜花の候
- 夏:盛夏の候、猛暑の候
- 秋:秋涼の候、初秋の候
- 冬:寒冷の候、厳寒の候
時候の挨拶のあとには、
ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
などの定型文を続けると、より自然で丁寧な文章になります。
ただし、社内向けやカジュアルな文書では省略しても問題ありません。
取引先や顧客向けの正式な手紙では入れると、文章全体がやわらかく、きちんとした印象になります。
句読点・改行・署名位置などレイアウトの基本ルール
初心者の方は、次の流れを覚えておくと安心です。
- 拝啓(行の一番上)
- 時候の挨拶
- 本文
- 結びのあいさつ
- 敬具(本文より少し下げて右寄せが一般的)
- 日付
- 署名(名前・所属)
文章の内容が丁寧でも、レイアウトが崩れていると読みづらくなってしまいます。
改行を適度に入れ、全体をすっきり見せることも大切です。
※「拝啓」「敬具」には句読点をつけません。
ここも意外と間違えやすいポイントなので、書き終えたあとに一度チェックすると安心です。
相手別の使い分け:上司・取引先・顧客・同僚ごとの注意点

相手によって立場や関係性はさまざまです。
そのため、同じ内容の手紙であっても、言葉の選び方や丁寧さの度合いを調整することが大切になります。
ここでは、よくある4つの相手別に、初心者の方でも迷いにくいポイントを整理していきます。
上司宛に注意すべき表現と具体的な書き出し例
上司宛の場合は、
- 丁寧すぎて不自然にならない
- 馴れ馴れしくならない
このバランスがとても重要です。
かしこまりすぎると距離を感じさせてしまい、反対にくだけすぎると失礼に受け取られることがあります。
特に書き出し部分は、手紙全体の印象を左右します。
迷ったときは、定型表現をベースにすると安心です。
書き出し例:
拝啓 〇〇の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
このあとに、日頃の指導への感謝や要件を簡潔に続けると、落ち着いた印象になります。
取引先宛の丁寧な言い回しと禁句
取引先には、社内向けより一段階丁寧な表現を使うのが基本です。
会社同士の関係を意識し、個人的な表現は控えめにしましょう。
避けたい表現:
- ご苦労さまです(目上から目下に使う言葉のため)
- お世話になります(単独使用で簡素に見える場合あり)
おすすめ表現:
- 平素より大変お世話になっております
この一文を入れるだけで、ビジネス文書としての信頼感が高まります。
顧客・クライアント向けの礼儀正しい文例のポイント
顧客向けの文書では、
- 感謝
- 配慮
- わかりやすさ
を特に意識しましょう。
専門用語はなるべく避け、誰が読んでも理解しやすい表現を心がけると、安心感につながります。
また、相手の立場に立った一言を添えると、より丁寧な印象になります。
社内・親しい相手における省略や言い回しの適切さ
社内文書や親しい相手には、形式よりも伝わりやすさを重視して問題ありません。
- 拝啓・敬具を省略
- 頭語・結語を「いつもお世話になっております」などに変更
といった対応も一般的です。
ただし、社内でも役職が高い相手や公式な通知の場合は、簡略化しすぎないよう注意しましょう。
媒体別の使い方:手紙・メール・社内文書でどう変えるか

文章を書く場面では、「誰に送るか」だけでなく「どの媒体で送るか」もとても重要です。
手紙・メール・社内文書では求められる丁寧さや形式が異なるため、それぞれに合った使い分けを知っておくと安心です。
ビジネスメールでの拝啓・敬具は必要か?
結論から言うと、 ビジネスメールでは基本的に不要です。
メールはスピード感と簡潔さが重視されるため、手紙のような形式ばった書き出しは省略されることがほとんどです。
その代わり、冒頭で簡単なあいさつと感謝を伝えるのが一般的です。
いつもお世話になっております。
この一文があれば、丁寧さとしては十分です。
特別に改まった案内や、初めて連絡する相手の場合でも、「拝啓・敬具」を使う必要はほぼありません。
封書・礼状での正式フォーマットと見た目の作り方
封書や礼状では、メールとは異なり形式の美しさも重視されます。
- 拝啓・敬具
- 時候の挨拶
をきちんと入れることで、文章全体が整い、相手に誠実な印象を与えることができます。
特に、お礼状や正式な案内状では、決まったフォーマットを守ることが信頼感につながります。
文字の配置や余白にも気を配ると、より丁寧な印象になります。
社内稟議書や報告書での代替表現と注意点
社内書類では、読みやすさと要点の分かりやすさが最優先です。そのため、
- 拝啓・敬具は使わない
- 件名+本文構成
が一般的です。
無理に手紙形式にする必要はなく、簡潔で整理された文章を意識しましょう。
ただし、社外に提出する可能性がある書類の場合は、社内ルールを確認しておくと安心です。
上司別/取引先別の実例集

ここでは、実務でよく使われる場面を想定し、そのまま使える例文を紹介します。
文章の流れや言葉選びのポイントもあわせて解説するので、「どこをどう直せばいいか」が分かりやすくなります。
迷ったときは、まずは例文をベースに考えてみてくださいね。
上司宛:昇進報告・休暇申請・業務報告の例文と解説
上司宛の文書では、要件を簡潔に伝えつつ、配慮や感謝の気持ちを添えることが大切です。
特に休暇申請や業務報告は、日常的に使う場面が多いため、基本形を覚えておくと安心です。
例(休暇申請):
拝啓 〇〇の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、私事で恐縮ですが、下記日程にて休暇を申請させていただきたく存じます。
業務につきましては事前に引き継ぎを行い、支障のないよう対応いたします。
何卒ご承認のほど、よろしくお願い申し上げます。 敬具
一文だけで終わらせず、業務への配慮を添えることで、より丁寧で信頼感のある印象になります。
取引先宛:見積依頼・納期回答・謝罪の例文とフレーズ集
取引先宛の文書では、会社としての姿勢が伝わるため、特に言葉選びに注意が必要です。
要件だけでなく、相手への影響を考えた一文を加えると、誠意が伝わりやすくなります。
謝罪例:
拝啓 平素より大変お世話になっております。
このたびは弊社の不手際により、ご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。
今後は同様の事態が起こらぬよう、再発防止に努めてまいります。 敬具
謝罪文では、言い訳をせず、改善姿勢を示すことが大切なポイントです。
顧客宛:お礼状・フォローアップ・契約完了通知の例文
顧客向けの文書では、感謝の気持ちを中心に、今後の関係につながる表現を意識しましょう。
文章全体をやわらかくまとめることで、安心感や好印象につながります。
お礼状例:
拝啓 このたびはご契約いただき、誠にありがとうございました。
お手続きに際し、ご不明な点などがございましたら、いつでもお気軽にお知らせください。
今後とも末永いお付き合いを賜りますよう、お願い申し上げます。 敬具
よくある誤用と実務で差がつくチェックポイント

細かい部分ではありますが、ここを押さえておくことで「きちんとしている」「安心してやり取りできる」という印象につながります。
拝啓・敬具の位置や同一文中の使い方でおきる誤り
- 拝啓だけ書いて敬具を書かない
- 文中に敬具を入れてしまう
これらはとてもよくあるミスです。
特に急いで文章を書いたときや、メール感覚で作成してしまうと起こりがちです。
送付前に「拝啓と敬具がセットになっているか」を一度見直すだけで、防ぐことができます。
時候の挨拶の季節違い・冗長表現を避ける方法
時候の挨拶は季節感を大切にする表現なので、季節がズレていると違和感を与えてしまいます。
月の変わり目や、迷いやすい時期は特に注意が必要です。
迷った場合は、
- 「時下」
- 「平素より」
といった表現で代用してもOKです。
無理に季節表現を入れず、自然で読みやすい文章を心がけましょう。
敬語の混在(尊敬語・謙譲語の誤用)と修正例
敬語は丁寧にしようとするほど、形が重なってしまうことがあります。
例: × ご覧になられましたでしょうか
○ ご覧になりましたでしょうか
「〜になられる」などの二重敬語は、無意識に使ってしまいがちです。
書き終えたあとに声に出して読んでみると、不自然さに気づきやすくなります。
署名欄・所属名・連絡先の正しい書き方とNG例
署名欄は、相手が差出人を正確に把握するための大切な情報です。省略せず、正式な情報を記載しましょう。
署名には、
- 会社名(正式名称)
- 部署名
- 氏名
を基本として記載します。必要に応じて、電話番号やメールアドレスを添えると、より親切な印象になります。
まとめ
拝啓・敬具は、
- 必ずセットで使う
- 相手と媒体に合わせて調整する
この2点を押さえれば大丈夫です。
基本を知っておくだけで、 「きちんとしている人」という印象につながります。
ぜひ、今回の例文やテンプレを参考に、 自信を持って使ってくださいね。

